『廃用身』で作家デビュー。以後、現代の医療に問題提起する刺激的な作品を次々に発表。「無痛」「破裂」「神の手」などテレビドラマ化された作品も多い医師&作家の久坂部羊講師のご紹介。
。
久坂部羊(くさかべ よう)講師のプロフィール
1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。
大阪大学医学部附属病院にて外科および麻酔科を研修。
その後大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、外務省の医務官としてパプア・ニューギニアなど在外公館で9年間海外勤務。
後、高齢者が対象の在宅訪問診療に従事し、現在は健診センターの非常勤医師。
この間、大阪人間科学大学社会福祉学科特任教授、大阪大学医学部招聘教授を務めた。
他方、同人誌『VIKING』での活動を経て、2003年『廃用身』で作家デビュー。以後、現代の医療に問題提起する刺激的な作品を次々に発表。「無痛」「破裂」「神の手」などテレビドラマ化された作品も多い。
現在 医師。作家。
【受賞】14年『悪医』で第三回日本医療小説大賞。
15年『移植屋さん』で第8回上方落語台本優秀賞。
【近著、主著】
『人はどう老いるのか』講談社現代新書 (講談社)23/10
『善医の罪』 文春文庫 (文藝春秋)23/08
『怖い患者』 集英社文庫 (集英社)23/07
『MR 〈上〉 』『MR 〈下〉』幻冬舎文庫(幻冬舎)23/04
『老父よ、帰れ』 朝日文庫 (朝日新聞出版)23/03
『砂の宮殿』 (KADOKAWA)23/03
『寿命が尽きる2年前』 幻冬舎新書 (幻冬舎)22/10
『人はどう死ぬのか』 講談社現代新書 (講談社)22/03
『テロリストの処方』 集英社文庫 (集英社)19/10
『芥川症』 新潮文庫 (新潮社)17/01
『嗤う名医』 集英社文庫 (集英社)16/08
『虚栄』 (KADOKAWA)15/09
『糾弾~まず石を投げよ』 朝日文庫 (朝日新聞出版)12/01
『神の手 〈上〉』『神の手 〈下〉』 (NHK出版)10/05
『無痛』 幻冬舎文庫 (幻冬舎)08/09
『破裂 〈上〉』『破裂 〈下〉』 幻冬舎文庫 (幻冬舎)07/08
『人はどう老いるのか』 講談社現代新書 (講談社)23/10
久坂部羊先生は言う。老いればさまざまな面で、肉体的および機能的な劣化が進みます。目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。
イヤなことばかり書きましたが、これが老いるということ、すなわち長生きということです。
にもかかわらず、長生きを求める人が多いのはなぜなのか。それは生物としての人間の本能であり、長生きをすればいいこともいっぱいあるからでしょう。
世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれています。曰く、「八十歳からの幸福論」「すばらしき九十歳」「人生百年!」「いつまでも元気で自分らしく」「介護いらず医者いらず」等々。
そのことに私は危惧を深めます。そんな絵空事で安心していてよいのかと。
思い浮かぶのが、パスカルの言葉です。
~~~~我々は絶壁が見えないようにするため、何か目を遮るものを前方に置いた後、安心して絶壁のほうに走っているのである。
下手に老いて苦しんでいる人は、だいたい油断している人です。浮かれた情報に乗せられ、現実を見ずに明るく気楽で前向きな言葉を信じた人たちです。
上手に老いて穏やかにすごしている人は、ある種の達観を抱いています。決していつまでも元気を目指して頑張っている人ではありません。いつまでも元気にこだわると、いずれ敗北の憂き目を見るのは明らかです。
老いれば機能が劣化する分、あくせくすることが減ります。あくせくしても仕方がないし、それで得られることもたいしたものではないとわかりますから。そういう智恵が達観に通じるように思います。
多くの高齢者に接してきて、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見ていると、初体験の「老い」を失敗しない方法はあるような気がします。それをみなさんといっしょに見ていきたいと思います。
㈱経発、担当・大森までご連絡ください。
TEL06-6939-1297 FAX06-6939-1296
E-mail:koushi@keihatsu.co.jp