『廃用身』で作家デビュー。以後、現代の医療に問題提起する刺激的な作品を次々に発表。「無痛」「破裂」「神の手」などテレビドラマ化された作品も多い医師&作家の久坂部羊講師のご紹介。

装丁(46・並)

久坂部羊(くさかべ よう)講師のプロフィール

1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。

大阪大学医学部附属病院にて外科および麻酔科を研修。

その後大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、外務省の医務官としてパプア・ニューギニアなど在外公館で9年間海外勤務。

後、高齢者が対象の在宅訪問診療に従事し、現在は健診センターの非常勤医師。

この間、大阪人間科学大学社会福祉学科特任教授、大阪大学医学部招聘教授を務めた。

他方、同人誌『VIKING』での活動を経て、2003年『廃用身』で作家デビュー。以後、現代の医療に問題提起する刺激的な作品を次々に発表。「無痛」「破裂」「神の手」などテレビドラマ化された作品も多い。

現在 医師。作家。

【受賞】14年『悪医』で第三回日本医療小説大賞。

    15年『移植屋さん』で第8回上方落語台本優秀賞。


 

【近著、主著】 

『人はどう老いるのか』講談社現代新書  (講談社)23/10

『善医の罪』  文春文庫      (文藝春秋)23/08

『怖い患者』    集英社文庫  (集英社)23/07

『MR 〈上〉 』『MR 〈下〉』幻冬舎文庫(幻冬舎)23/04

『老父よ、帰れ』   朝日文庫  (朝日新聞出版)23/03

『砂の宮殿』      (KADOKAWA)23/03

『寿命が尽きる2年前』  幻冬舎新書  (幻冬舎)22/10

『人はどう死ぬのか』 講談社現代新書   (講談社)22/03

『テロリストの処方』 集英社文庫 (集英社)19/10

『芥川症』       新潮文庫 (新潮社)17/01

『嗤う名医』        集英社文庫 (集英社)16/08

『虚栄』     (KADOKAWA)15/09

『糾弾~まず石を投げよ』  朝日文庫 (朝日新聞出版)12/01

『神の手 〈上〉』『神の手 〈下〉』 (NHK出版)10/05

『無痛』       幻冬舎文庫 (幻冬舎)08/09

『破裂 〈上〉』『破裂 〈下〉』 幻冬舎文庫  (幻冬舎)07/08


   

『人はどう老いるのか』 講談社現代新書  (講談社)23/10

久坂部羊先生は言う。老いればさまざまな面で、肉体的および機能的な劣化が進みます。目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。

イヤなことばかり書きましたが、これが老いるということ、すなわち長生きということです。

にもかかわらず、長生きを求める人が多いのはなぜなのか。それは生物としての人間の本能であり、長生きをすればいいこともいっぱいあるからでしょう。

世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれています。曰く、「八十歳からの幸福論」「すばらしき九十歳」「人生百年!」「いつまでも元気で自分らしく」「介護いらず医者いらず」等々。

そのことに私は危惧を深めます。そんな絵空事で安心していてよいのかと。

思い浮かぶのが、パスカルの言葉です。

~~~~我々は絶壁が見えないようにするため、何か目を遮るものを前方に置いた後、安心して絶壁のほうに走っているのである。

下手に老いて苦しんでいる人は、だいたい油断している人です。浮かれた情報に乗せられ、現実を見ずに明るく気楽で前向きな言葉を信じた人たちです。

上手に老いて穏やかにすごしている人は、ある種の達観を抱いています。決していつまでも元気を目指して頑張っている人ではありません。いつまでも元気にこだわると、いずれ敗北の憂き目を見るのは明らかです。

老いれば機能が劣化する分、あくせくすることが減ります。あくせくしても仕方がないし、それで得られることもたいしたものではないとわかりますから。そういう智恵が達観に通じるように思います。

多くの高齢者に接してきて、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見ていると、初体験の「老い」を失敗しない方法はあるような気がします。それをみなさんといっしょに見ていきたいと思います。

㈱経発、担当・大森までご連絡ください。
TEL06-6939-1297 FAX06-6939-1296
E-mail:koushi@keihatsu.co.jp


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です