近年TVメディアを見ていると、各局の気象予報士が独自性を出そうとする工夫、演出がみえて面白い。また気象予報士と並んで防災士の資格の所有者が増えているようにもみえる。ここでは異色の田家 康(たんげ やすし)氏の著書のご紹介。田家先生は、農林中金総合研究所客員研究員、気象予報士、日本気象予報士会東京支部長という肩書の方。
田家先生は、この間『気候文明史』や『気候で読む日本史』において、天気や気候が歴史を大きく変えて来た事例を紹介されて来ている。この視点は、近年、高校の歴史の教科書でも強調されている、とか。
山川出版社『詳説世界史B』の導入部「世界史への扉」の冒頭で、「気候変動と私たち
人類の生活」として事例を挙げている。これから世界史を学ぶ高校生へ向けた執筆陣の願望が込められている!
田家 康(たんげ やすし)著
『気候で読み解く人物列伝~日本史編』 (日本経済新聞出版)21/02
本書は日本史で著名な人物を取り上げ、気象現象が人生の画期となった事例を集めたもの。歴史の大きな流れが気候変動と関わっている。それぞれの時代を生きた人々も気象現象と無縁ではない。
あの人物の人生を変えた「天候」の真実!
綿密なデータと文献資料に基づき気候と人類の歴史を描くことで高い評価を得ている
著者による書き下ろし6冊目が『気候で読み解く人物列伝~日本史編』。
前作『気候で読む日本史』では、気候変動とそれに伴う政治文化の変遷や農業技術の進歩がテーマ。本作では、歴史上の人物に焦点を当て、その人生に大きく影響を与えた要素として「気象・気候」をとらえている。
登場人物は、歴史ファンに人気がある戦国、幕末はもちろん、奈良、平安、鎌倉、江戸
中期とバリエーションを持たせ、女性として中宮定子も取り上げられている。
自然科学と人文科学を融合させた歴史エンターテインメント!というべき本書。
その日の雪が、歴史を変えた。新田義貞、織田信長、桓武天皇、中宮定子、徳川吉宗、
井伊直弼…。彼らの運命を変えた「気象・気候」の謎を、緻密なデータと豊富な資料から描く。
『気候で読み解く人物列伝~日本史編』 (日本経済新聞出版)の構成
はじめに
第1章 季節外れの天気―新田義貞の幸運と悲運
第2章 空梅雨―長篠の戦いでの信長の勝因は何か
第3章 異常気象―桓武天皇が貫徹した二大事業
第4章 気象と疫病―中宮定子の人生の暗転
第5章 気象と虫害―徳川吉宗を襲った大飢饉
第6章 南岸低気圧―桜田門外に降った春の大雪
参考文献
事柄索引
人名索引
田家 康(たんげ やすし)氏のプロフィール
[農林中金総合研究所客員研究員/気象予報士]
1959年、神奈川県生まれ。
1981年、横浜国立大学経済学部卒業。
農林中央金庫森林担当部長、(独)農林漁業信用基金漁業部長を経て、
現在 ㈱農林中金総合研究所客員研究員。
2001年、気象予報士試験合格。日本気象予報士会東京支部長。
2010年から最新の研究成果を踏まえた気候変動と歴史の関係について、日本経済新聞
出版社より刊行。
【主著】
『異常気象で読み解く現代史』(日本経済新聞出版社)16/04
『異常気象が変えた人類の歴史』(日本経済新聞出版社)14/09)
『気候で読み解く日本の歴史』(日本経済新聞出版社)13/07)
『世界史を変えた異常気象~エルニーニョから歴史を読み解く』
(日本経済新聞出版社)11/08
『気候文明史 : 世界を変えた8万年の攻防』(日本経済新聞出版社)10/02
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